免疫性神経疾患 新たな治療戦略に向けて
代表的な中枢神経の自己免疫疾患 急性散在性脳脊髄炎の臨床と病理
吉良 龍太郎
1
1九州大学 大学院医学研究院成長発達医学分野小児科
キーワード:
Steroids
,
感染
,
MRI
,
鑑別診断
,
頭痛
,
脳脊髄炎-急性散在性
,
発生率
,
免疫抑制療法
,
予後
,
予防接種
,
大量薬物療法
,
静脈内投与
,
灰白質
,
病態生理
Keyword:
Diagnosis, Differential
,
Encephalomyelitis, Acute Disseminated
,
Headache
,
Magnetic Resonance Imaging
,
Immunosuppression
,
Infection
,
Prognosis
,
Steroids
,
Vaccination
,
Incidence
,
Gray Matter
,
Administration, Intravenous
pp.783-786
発行日 2010年5月1日
Published Date 2010/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2010193464
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急性散在性脳脊髄炎(ADEM)は、感染や予防接種に関連して発症し、脱髄や炎症が示唆される多症候性で単相性の脳脊髄炎である。経過・予後の違いから、多発性硬化症(MS)を示唆する初回のエピソードであるclinically isolated syndrome(CIS)との鑑別が重要である。ADEMでは、意識の変容や行動異常などの脳症症状が特徴的で、CIS/MSに比べて頭痛、髄膜刺激症状、髄液細胞増多の頻度が高く、MRI病変は広範囲、境界不鮮明で、両側深部灰白質にも出現しやすい。ADEMの診断にはMRIがきわめて有用で、急性期の治療としてステロイド大量点滴静注療法を行う。
©Nankodo Co., Ltd., 2010