発行日 2008年2月1日
Published Date 2008/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2008110830
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72歳、男。肺小細胞癌の化学療法目的で入院した際、両下肢近位筋優位の脱力と低換気による低酸素血症を認めたが、化学療法施行後2週間で症状は軽快した。小細胞癌は寛解したが、その後、再び脱力症状、口渇を認め、FDG-PETにて肺小細胞癌の再燃を指摘された。歩行困難感、心窩部痛、食欲不振、脱力症状の悪化を認めた。入院時、腹部はMurphy徴候陽性、検査にて炎症反応強陽性、胸部CT、PETにて左肺下葉~肺門部に径約3cmの腫瘤影を認めた。腹部エコーで多数の胆石と胆嚢炎の所見を認めた。急性胆嚢炎と診断し、経皮経肝的胆嚢ドレナージを施行した。急性胆嚢炎は軽快傾向にあったが全身脱力症状は進行し寝返り不能状態となった。反復刺激試験では低頻度刺激にてwaningを認め、compound muscle action potentialは1mVと低電位であった。抗P/Q type VGCC抗体は異常高値であり、Lambert-Eaton myasthenic syndrome(LEMS)と診断した。入院後の酸素飽和度は80%台に低下し、血液ガス分析ではII型呼吸不全を認めた。LEMSに伴う呼吸筋不全による低換気状態と考え、LEMSに対してcarboplatin・etoposide、γグロブリン大量療法を開始した。治療効果はなく、高二酸化炭素血症、呼吸性アシドーシスが進行し、第5病日に呼吸不全で永眠した。
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