発行日 2010年3月1日
Published Date 2010/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2010180567
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
57歳女性。患者は強い頭痛、嘔気、嘔吐で内科にて鎮痛薬や点滴を受け一旦改善したが、再度の同様症状で鎮痛薬を服用するも症状が持続したため、脳神経外科へ受診となった。所見では血液検査や脳下垂体ホルモン検査では異常所見は認められなかったが、頭部CTではトルコ鞍内から鞍上部に径1cm大の境界明瞭な脳より高吸収域の腫瘤が確認された。だが、5週後には吸収値がやや低下し、鞍上部は脳と等吸収域となった。一方、MRIでは腫瘤のトルコ鞍前上方側はT1強調で等信号域、T2強調で高信号域を呈し、後底側はT1強調で高信号域、T2強調で脳と等信号域から一部に強い低信号の部分が認められた。以上より、本症例は脳下垂体部の腫瘤が疑われ、髄液検査が行われたものの、異常所見は認めず、腫瘤はケトラ嚢胞と考えられた。視神経部は圧迫されていたが視力・視野障害はなく、患者の希望で保存的加療にて定期的に経過観察中である。
©Nankodo Co., Ltd., 2010