発行日 2006年9月1日
Published Date 2006/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2006320930
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67歳男.糖尿病の加療を受けている.胆嚢ポリープの精査加療中に両上腕から前腕にかけて皮下腫瘤を指摘されたが,自覚症状なく放置した.膵腫瘍を指摘され膵尾部脾合併切除を受けた.腫瘤の縮小は認めなかった.大腿部にも腫瘤を自覚した.両肩から上背部,両上腕から前腕にかけて,腰腹部から両大腿部にかけて左右対称性に境界不明瞭,表面平滑,弾性軟,圧痛・自発痛を伴わない皮下腫瘤を認めた.糖尿病のコントロールは比較的良好であった.右前腕部の腫瘤より生検した病理像では,成熟した脂肪細胞の増生が認められるのみで被膜構造や隔壁構造は明らかでなく,悪性の所見も認めなかった.病歴や症状,検査より,多発性対称性脂肪腫症と診断した.肝機能は軽快し,最近1年半は少なくとも皮下腫瘤の増大は観察されていない
©Nankodo Co., Ltd., 2006