発行日 2011年10月1日
Published Date 2011/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2012020791
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71歳男。67歳時に食欲不振、体重減少、両側肩甲帯から上肢の疼痛による両上肢の挙上困難、赤沈の亢進、好酸球増多を認め、リウマチ因子、抗核抗体は陰性であったが、リウマチ性多発筋痛症(PMR)の診断基準を満たした。プレドニソロン(PSL)を投与したところ、症状の著明な改善を認めた。PSLは漸減し中止したが、食欲不振、嘔気がみられたためPSL 10mg/dayを再開した。その後、症状は消失し、PSLは減量していたが、患者の自己判断で中止していた。今回、臍周囲痛、嘔気にて食事摂取困難となり消化器内科に入院となった。興奮状態で起立困難、血糖の低下を認め、ブドウ糖投与にて改善したが、血圧が60~90mmHgと低下し、意識障害をきたした。ブドウ糖とメチルプレドニソロン投与にて意識は回復し、神経内科に転科となった。検査所見は、軽度の貧血、低コレステロール血症、低カリウム血症を認めた。ACTH、コルチゾールは測定感度以下の低値で、ACTH以外の下垂体前葉ホルモンの基準値は正常であり、ADHの軽度上昇、尿中17-KSの低値、尿中17-OHCSは正常下限であった。腹部CTでは両側腎嚢胞、頭部MRIではempty sellaを認めた。以上のことから、ACTH単独欠損症と判断し、hydrocortisone投与にて症状が軽快した。
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