発行日 2009年3月1日
Published Date 2009/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2009138558
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55歳女。7年前に高血圧、糖尿病で、Cushing病と診断されbromocriptineの内服加療中に自己中断した。口喝、多飲、多尿、全身倦怠を自覚し、10ヵ月後に左半身のしびれが出現し他医を受診し、高血糖、高血圧、およびCTで左視床に陳旧性脳梗塞を認め当院紹介入院した。左口角周囲のしびれ、構音障害、左片麻痺により神経内科で延髄上部から橋下部のアテローム血栓性脳梗塞と診断加療され1ヵ月後に当科に転科した。入院時に明らかなCushing徴候はなく、著明な高血圧、高血糖、高コレステロール血症を認め降圧薬の増量とインスリン、スタンチンを開始後、血糖値の改善に伴いαGI、SU薬、ビグアナイド薬に変更した。症状安定後もACTH・コルチゾールの高値が持続し、dexamethasone 2mgでは抑制できず8mgで抑制した。日内変動の消失によりACTHの自律分泌が継続していると判断した。Cushing徴候を欠いているためpre(sub)clinical Cushing病と診断しoctreotide投与を開始した。10日後にACTH、コルチゾールは低下し、さらに6日後にACTHの日内変動を認め、徐放性製剤(LAR)の筋注を開始した4日後に退院した。その後月1回のLAR製剤の筋注を続けACTHは若干増減したがコルチゾールは正常範囲を維持し、高血圧、糖尿病、高脂血症の治療薬を減量しても良好にコントロールできた。
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