発行日 2013年1月1日
Published Date 2013/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2013186085
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症例は64歳女性で、約35年前、出産時大量出血で輸血を施行された。出産後生理不順、腋毛、恥毛、眉毛の脱落が認められた。また、6年前から高血圧、低Na血症に対し加療していた。今回、食欲低下、全身倦怠感を認め、消化管精査目的に入院となった。入院時、低Na血症、低K血症を認め、空腹時血糖は57mg/dlと低血糖を認め、心電図ではT平低化が認められた。内分泌学的検査では、尿中cortisolがやや低値を示し、rapid ACTH負荷試験ではcortisolは低反応であった。4者負荷試験では、ACTH、TSH、GH、LH、FSHが低反応を示した。下垂体MRIではempty sellaが認められた。以上より、Sheehan症候群と診断し、ヒドロコルチゾン、レボチロキシンナトリウムを内服開始したところ、食欲低下、全身倦怠感が改善した。一方、レニン活性が低値でレニン-アルドステロン比(ARR)が高値、rapid ACTH負荷試験でアルドステロンの過大反応を認め、原発性アルドステロン症が疑われたため、ラシックス立位負荷試験とカプトリル負荷試験を行った。ラシックス立位負荷試験ではレニンの上昇を認めず、カプトリル負荷試験ではARRが20以上を示し、原発性アルドステロン症の合併が考えられた。eplerenone内服後、高血圧も軽快した。現在外来にて経過観察中で、血圧も安定している。
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