発行日 2009年11月1日
Published Date 2009/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2010021292
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63歳女。3ヵ月前からの体重減少、食欲不振、全身倦怠感で受診し、前庭部に胃癌3型を認めた。入院後に低血糖発作による意識レベル低下・失見当識・冷汗を認め副腎不全による低血糖発作を疑った。甲状腺エコーでびまん性甲状腺腫を認め、ホルモン基礎値では橋本病による甲状腺機能低下所見を示した。ホルモン負荷試験(第4者負荷試験)の反応はGRH負荷でGHは基礎値が軽度高値で正常反応、TRH負荷でTSH、PRLは基礎値が高値で過大反応、CRH負荷ではACTH、コルチゾールとも全く無反応、LH-RH負荷ではLH、FSHとも低反応で遅延した。以上から、橋本病と甲状腺機能低下を合併したACTH単独欠損症と診断した。hydrocortisoneの補充後にlevothyroxine sodiumを追加併用し良好なコントロールを得て低血糖発作も消失した。手術前日に甲状腺ホルモン投与を中止したが機能低下は認めず、周術期にはhydrocortisoneを静注に変更して胃癌に対する幽門側胃切除(B-I再建術)を行うことができた。
©Nankodo Co., Ltd., 2009