発行日 2005年11月1日
Published Date 2005/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2006012503
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予防抗菌薬の役割は組織の無菌化ではなく,付加的に使用することにより,術中汚染による菌量を宿主防御機構で対応できるレベルに下げることである.臨床研究により,準清潔手術では予防抗菌薬は感染率を減少させることが証明されている.清潔手術では,異物を装着する場合や感染を合併すれば重篤化する手術で適応となる.術中汚染菌に活性を有する予防抗菌薬を使用する.初回抗菌薬は皮切<30分前(麻酔導入直後)に投与する.予防効果の面では有効血中濃度を術中ならびに術後数時間まで維持すればよく,欧米では術後24時間を超えた投与は勧められていない.しかし日本では侵襲度の高い手術が行われるとの理由で3~4日間投与が推奨されている.予防抗菌薬3~4日間の長期投与により創部,腸管内,皮膚で耐性菌が選択されることが報告されている.日本でも多施設における大規模な無作為比較試験を実施し,それにより正当化された抗菌薬使用のガイドラインを作成することが必要である
©Nankodo Co., Ltd., 2005