発行日 2001年3月1日
Published Date 2001/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2001166690
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症例は76歳の男性で,低タンパク血症,肝障害を認め,倦怠感,下肢浮腫の増悪のため,入院となった.腹部エコーでは肝内に低エコーに描出される多数の腫瘤を認めた.腫瘤は周辺がリング状に増強され,内部は低吸収に描出された.転移性肝腫瘍を疑い,胃内視鏡を施行したところ,食道胃接合部に接する不整形の潰瘍を伴う隆起性病変を認め,肛門側には浅い潰瘍を認めた.生検組織ではクロマチンに富む円形の細胞がび漫性,充実性に増殖し,NSE,クロモグラニンAが陽性であった.以上より多発性肝転移を伴う胃小細胞癌と診断した.又,内分泌学的検査を行ったところ,コルチゾール,副腎皮質刺激ホルモン(ATCH)の基礎値は上昇,dexamethasone 1mgの抑制試験で抑制が見られず,Cushing症候群と診断した.経口K製剤,K保持性利尿薬を投与し,cisplatinによる化学療法を検討したが,食欲低下,歩行困難が出現し,全身状態が急速に悪化したため化学療法は施行できず,入院から20日目に死亡した
©Nankodo Co., Ltd., 2001