発行日 2001年3月1日
Published Date 2001/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2001183946
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症例は65歳の男性で,右S4の中分化型腺癌と診断され,右中葉切除術が施行された.退院後はetoposide経口内服が施行された.その後多発骨転移が出現し,腰椎L1~3に対し放射線照射が施行されたが,CT検査で両肺に散布する多発小結節と右S2に接する胸膜の肥厚が認められた.生化学検査で,LDHとALPが高値で,LDHアイソザイムは2型と3型が,ALPアイソザイムは骨型が優位であった.又,アミラーゼアイソザイムは唾液腺型が優位であった.両肺に少量の胸水貯瘤を認め,試験穿刺で細胞診はclass Vであった.胸水はLDHとアミラーゼが共に高値を示した.肝転移を疑って狙撃生検をしたところ,病理診断は中分化型腺癌であった.更に,抗唾液腺型アミラーゼ抗体を用いた免疫染色では,一部の腫瘍細胞が陽性に染色された.抗癌薬を進めたが同意は得られず,疼痛コントロールを中心とした緩和医療を行った.肺炎の合併に対して抗生物質の投与を行ったが効果なく,入院第31病日に永眠された
©Nankodo Co., Ltd., 2001