経験と考察
急性非特異的腰痛のvisual analogue scale値変化とそこから示唆される望ましい鎮痛薬
高橋 弦
1
1山王整形クリニック
キーワード:
Acetaminophen
,
非ステロイド系抗炎症剤
,
追跡研究
,
疼痛測定
,
腰痛
,
後向き研究
,
視覚アナログ尺度
Keyword:
Acetaminophen
,
Anti-Inflammatory Agents, Non-Steroidal
,
Follow-Up Studies
,
Pain Measurement
,
Retrospective Studies
,
Low Back Pain
,
Visual Analog Scale
pp.305-313
発行日 2017年4月1日
Published Date 2017/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2017272414
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当院で独自開発したvisual analogue scale(VAS)値の記録・表示システム"SuperVAS"で記録された急性非特異的腰痛(ANSLBP)のVAS値の連続経過を分析し、ANSLBPの痛みの原因と鎮痛薬について検討した。腰痛を主訴として外来受診した2504例のうち、ANSLBPと診断した132例(男75例・女57例・平均48.4歳)を対象とした。初診日から84日(3ヵ月)まで毎日の平均値をつないで「平均VAS値曲線」を作成し分析に使用した。129例に鎮痛内服薬を処方し、NSAIDsが27例、アセトアミノフェンが102例であった。SuperVASを用いたVAS値の詳細な追跡により、ANSLBP患者は平均7~14日で寛解に至り、全体の90%以上が3ヵ月以内に治癒・軽快することが明らかとなった。また、急性期におけるNSAIDs使用例とアセトアミノフェン使用例のVAS値経過(低下)に差はなく、両剤は鎮痛薬として有効性が同等であることが示された。鎮痛効果が同等であれば、ANSLBPの鎮痛薬は「創傷治癒を阻害する可能性が少ないアセトアミノフェン」を選択すべきであると考えられた。
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