臨床室
大腿骨近位部骨折に対するshort femoral nail挿入中に深大腿動脈分枝の損傷をきたし動脈塞栓術を要した1例
水野 隆文
1
,
鳥居 行雄
,
櫻井 信彦
,
小松 大悟
,
梶田 哲史
,
大脇 義宏
1岡崎市民病院 整形外科
キーワード:
X線診断
,
股関節部骨折
,
内固定法
,
骨ネイル
,
術後合併症
,
塞栓術
,
大腿動脈
,
血管内治療
,
血管系外傷
,
コイル
Keyword:
Bone Nails
,
Embolization, Therapeutic
,
Femoral Artery
,
Fracture Fixation, Internal
,
Hip Fractures
,
Radiography
,
Postoperative Complications
,
Endovascular Procedures
,
Vascular System Injuries
pp.135-139
発行日 2017年2月1日
Published Date 2017/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2017143377
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症例は76歳男性で、自宅で転倒し、左大腿骨転子部骨折の診断でshort femoral nail法が施行された。手術は牽引台を用いて軽度内旋・内転位で行われ、インプラントはOptimal Locking Solution(OLS)を使用した。手術終了直前より血圧低下を認め、術後には著明な大腿内側部の腫脹がみられた。造影CTで深大腿動脈分枝の仮性動脈瘤を認めた。緊急血管造影を施行した。浅大腿動脈には慢性閉塞を認め、深大腿動脈から選択的に造影を行ったところ、遠位横止めスクリュー直下の深大腿動脈分枝の貫通動脈に仮性動脈瘤を認めた。同貫通動脈に対してコイル塞栓術を施行し、仮性動脈瘤の消失を確認した。第3病日には造影CTでスクリュー刺入部に小さな動脈瘤を認め、再度塞栓術を施行した。その後は状態が安定したために第7病日には一般病棟に転棟した。リハビリテーション目的で第24病日に転院となった。最終観察時(受傷後3ヵ月)では貧血の進行、骨折の転位は認めず、術前と同等の歩行能力まで改善して経過良好であった。
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