臨床室
フルポーラスステムを用いた人工骨頭置換術後にtrunnion wearが疑われた1例
石原 昌人
1
,
仲宗根 哲
,
山内 貴敬
,
金谷 文則
1琉球大学 整形外科
キーワード:
X線診断
,
骨切り術
,
再手術
,
鑑別診断
,
大腿骨頸部骨折
,
人工器官機能不全
,
人工股関節
,
股関節置換術
Keyword:
Diagnosis, Differential
,
Femoral Neck Fractures
,
Hip Prosthesis
,
Osteotomy
,
Radiography
,
Prosthesis Failure
,
Reoperation
,
Arthroplasty, Replacement, Hip
pp.129-133
発行日 2017年2月1日
Published Date 2017/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2017143376
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症例は82歳女性で、13年前に右大腿骨頸部骨折に対してAML-plusステムを用いた人工骨頭置換術を受けた。6年前に誘因なく右鼠径部痛を自覚した。右股関節屈曲90°で疼痛を認め、JOAスコアは右57点、左80点であった。軽度の炎症反応上昇を認めた。単純X線像ではインプラントの弛みは認めず、造影CTで右股関節周囲に造影される腫瘤を認めた。股関節穿刺で膿汁様液を認めた。手術を施行し、病理組織所見は異物反応による慢性炎症が考えられた。術後軟部組織の緊張低下のため反復性脱臼となり、術後1年半で脚延長のためにカップとヘッドを再置換して脱臼はなくなった。右鼠径部痛が残存して跛行を認め、初回手術後5年でアウターヘッドのマイグレーションが進行した。初回手術時にtrunnion wearによるadverse reaction of metal debrisが疑われたこと、AML-plusステムの将来的な破綻の可能性を考え、拡大大転子骨切り術を併用してステムを抜去し、人工股関節へ再置換した。再手術後1年半で右鼠径部痛は改善して杖歩行可能となり、JOAスコアは右86点、左91点に改善した。
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