発行日 2013年6月1日
Published Date 2013/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2013257856
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78歳男。転落による胸部打撲を主訴とした。血液検査では白血球の増加と貧血、総蛋白低値、凝固能異常を認め、胸部X線像では右第3~8肋骨骨折と右肺野透過性低下を認めた。意識レベルが急速に低下したため、人工呼吸管理下にて右胸腔のドレナージを開始したところ大量の血性排液が持続し、胸壁損傷に伴う動脈性出血を疑われた。右大腿動脈穿刺による鎖骨下動脈造影像で右内胸動脈末梢の前肋間動脈から造影剤の漏出を認めたため、血管塞栓用コイルを10個詰め、さらに多孔性ゼラチン粒を充填した結果、ドレーン排液は著明に減少した。術後CTで出血部位が第6肋骨腹側の肋軟骨移行部であることが判明し、血腫の残存を認めた右胸腔内にドレーンを追加留置し血腫を吸引除去した。第7病日に胸腔ドレーンを抜管し、第17病日に合併症なく退院した。
©Nankodo Co., Ltd., 2013