臨床室
Mycobacterium marinum感染症による総指伸筋腱断裂の1例
匹田 貴雅
1
,
安食 孝士
,
佐藤 新平
,
匹田 さやか
,
三浦 源太
,
井原 和彦
1姫島村国民健康保険診療所
キーワード:
腱損傷
,
MRI
,
指伸筋
,
掻爬術
,
非結核性抗酸菌症
,
免疫組織化学
,
Mycobacterium marinum
Keyword:
Curettage
,
Immunohistochemistry
,
Magnetic Resonance Imaging
,
Mycobacterium Infections, Nontuberculous
,
Tendon Injuries
,
Mycobacterium marinum
pp.937-939
発行日 2014年8月1日
Published Date 2014/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2014369925
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72歳男。左手背部の腫脹・疼痛を主訴とした。1ヵ月前、漁業作業中に左手背部に擦過創を負ったが放置し、自然治癒していた。総指伸筋腱腱鞘炎の診断で腱鞘内注射を1回行い、症状は劇的に改善したが、1ヵ月後に再び左手関節背側の腫脹と皮下膿疱が出現し、同時に左示指・中指・環指および小指の進展障害が出現した。左手背嚢胞の穿刺液からガフキー9号が検出されたため抗酸菌症の診断で4剤併用療法を開始した。MRIではT1強調像で低信号・T2強調像で高信号の病変が総指伸筋腱を取り囲むように存在していた。病巣掻爬術中所見で総指伸筋腱周囲に著明な滑膜増殖を認め、総指伸筋腱は手背部ですべて断裂していたため、中指浅指屈筋腱を用いた伸筋腱再建術を二期的に施行した。術後はレボフロキサシン・エタンブトール・リファンピシンを9ヵ月間継続し、最終観察時は手指中手指節関節の伸展は-50°であったがグリップは可能であった。
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