臨床室
神経根症を呈したガス含有腰椎椎間板ヘルニアに対し内視鏡下手術を行った1例
吉田 泰久
1
,
上田 康博
,
三崎 智範
,
林 雅之
,
石黒 基
,
中西 宏之
1福井県立病院 整形外科
キーワード:
X線診断
,
気体
,
MRI
,
神経根症
,
X線CT
,
椎間板ヘルニア
,
内視鏡法
,
腰椎
Keyword:
Endoscopy
,
Gases
,
Intervertebral Disc Displacement
,
Magnetic Resonance Imaging
,
Lumbar Vertebrae
,
Radiculopathy
,
Radiography
,
Tomography, X-Ray Computed
pp.630-633
発行日 2014年7月1日
Published Date 2014/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2014367653
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65歳男。左下肢痛、痺れ(大腿部後面~下腿後外側部)を主訴とした。X線ではL5/S1椎間板の狭小化、真空現象を認めた。MRIでは矢状断像でL5/S1椎間板の変性と、同高位でT1、T2強調像ともに低信号を示す円形占拠性病変が脊柱管内に突出してみられ、水平断像では占拠性病変が左S1神経根を圧迫していた。脊髄造影後CTでは矢状断像でL5/S1椎間板レベルよりやや尾側にガス像を認め、水平断像ではガスによって硬膜管が右に圧排されていた。以上より、ガス含有腰椎椎間板ヘルニアによる左S1神経根症と診断した。本例は糖尿病および腎機能障害があり、ステロイドを内服中であったことから手術合併症のハイリスク症例と判断し、低侵襲な内視鏡下手術を行った。術中、左S1神経根を確認すると、腋窩部に膨隆したヘルニア被膜と思われる腫瘤を認め、被膜を切開すると噴出音と共に気泡が噴出した。腫瘤が縮小したことで神経根の圧排は解除され、神経根の可動性は良好となり、縮小したヘルニア被膜を切除して手術を終了した。術後速やかに左下肢痛は軽快し、CTでもガス像の消失を認め、術後10ヵ月でJOAスコアは術前14点が29点満点に改善した。
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