臨床室
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌による有鉤骨骨髄炎の1例
後迫 宏紀
1
,
鈴木 大介
,
山本 和史
,
坂野 友啓
,
大石 強
1静岡県厚生農業協同組合連合会遠州病院 整形外科
キーワード:
Cefazolin
,
Sulfamethoxazole
,
Vancomycin
,
X線診断
,
骨髄炎
,
MRI
,
デブリードマン
,
Trimethoprim-Sulfamethoxazole
,
有鉤骨
,
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌
Keyword:
Debridement
,
Cefazolin
,
Magnetic Resonance Imaging
,
Osteomyelitis
,
Radiography
,
Sulfamethoxazole
,
Vancomycin
,
Trimethoprim, Sulfamethoxazole Drug Combination
,
Hamate Bone
,
Methicillin-Resistant Staphylococcus aureus
pp.634-637
発行日 2014年7月1日
Published Date 2014/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2014367654
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68歳女。10年前にMRSAによる化膿性手関節炎と診断され、抗菌薬治療による軽快と再燃を繰り返していた。今回、右手背の疼痛・発赤が出現した。初診時は37.2℃の発熱、右手背尺側に自発痛・腫脹・発赤を認め、X線で右手背尺側に軟部組織陰影の増大・拡大、右有鉤骨の骨透瞭像を認めた。MRIでは右有鉤骨内と有頭骨の一部にT1強調像で低信号、T2強調像で等信号と高信号の混在する骨髄炎様の輝度変化があり、STIR像で手根部尺背側から伸筋腱周囲に広がる高信号の液体貯留を認めた。化膿性有鉤骨骨髄炎と診断し、同日洗浄デブリドマンを行った。術中採取した膿の細菌培養検査でMRSAが検出されたことからバンコマイシン塩酸塩を点滴投与し、術後17日に骨髄抑制、薬剤性肝機能障害が出現したためスルファメトキサゾール・トリメトプリム合剤の内服に変更した。術後21日に感染の沈静化が得られたと判断して退院し、術後5ヵ月経過で感染の再燃はない。なお、入院中の精査および感染鎮静化後の血液検査所見より、低疾患活動性の関節リウマチを合併していると判断した。
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