臨床室
脊椎くも膜麻酔後に硬膜外血腫による重度の麻痺を生じた1例
伊澤 一也
1
,
滝田 泰人
,
時村 文秋
,
穴水 依人
,
小倉 信
,
山本 精三
1東京都健康長寿医療センター 整形外科
キーワード:
MRI
,
脊柱
,
脊椎麻酔
,
膀胱腫瘍
,
麻痺
,
硬膜外血腫-脊髄
Keyword:
Anesthesia, Spinal
,
Urinary Bladder Neoplasms
,
Magnetic Resonance Imaging
,
Paralysis
,
Spine
,
Hematoma, Epidural, Spinal
pp.627-629
発行日 2014年7月1日
Published Date 2014/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2014367652
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74歳男。膀胱癌再発に対し脊椎くも膜麻酔下に経尿道的膀胱腫瘍切除術を施行した。脊椎麻酔は1回の穿刺で成功し、0.5%高比重ブピバカイン塩酸塩水和物を2.4ml注入した。麻酔のレベルは術前はTh8、術後はTh7であった。麻酔から24時間経過でも下肢麻痺の運動機能や感覚が回復せず、麻酔から27時間経過後に腰椎MRIを施行したところ、L1~L3椎体高位に硬膜外血腫を認めた。硬膜外血腫による脊髄の圧迫が下肢麻痺の原因と判断し、直ちに椎弓切除および血腫除去を全身麻酔下に行った。椎弓をL1尾側1/2からL3頭側1/2まで切除したところ、L1/L2、L2/L3の部分で右側の硬膜を圧迫している凝血塊を認め、血腫を除去した。術中に出血源を特定することはできず、また動静脈奇形を疑わせる様な血管の怒張も認めなかった。術後経過は良好で、術後32週に独歩可能となり、術後6ヵ月のMRIで血腫の消失を認めた。
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