臨床室
明らかな原因のない手指伸筋腱皮下断裂の1例
伊達 亮
1
,
峯 孝友
,
河村 洋行
,
梅原 渓太郎
,
伊原 公一郎
1国立病院機構関門医療センター 整形外科
キーワード:
X線診断
,
自家移植
,
腱移植
,
腱損傷
,
手指
,
伸筋
,
長掌筋
Keyword:
Fingers
,
Radiography
,
Tendon Injuries
,
Transplantation, Autologous
pp.430-432
発行日 2014年5月1日
Published Date 2014/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2014255385
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36歳女。右中指伸展制限を主訴とし、X線検査で骨折などの異常所見はなく、血液検査で炎症所見も認めず、保存的治療で改善がないため手術を施行した。手関節背側を展開し伸筋腱を露出したところ、伸筋支帯遠位部で総指伸筋腱(EDC)II・IIIの完全断裂を認めた。EDC IVも線維状に変性し部分断裂していた。EDC IIをEDC IIIと端側吻合を行い、EDC IIIは掌側より採取した長掌筋腱を欠損部へ移植し、編み込み縫合を行った。続いて、伸筋支帯近位1/2を部分的に切離し、再建を行ったEDCの掌側に敷く形にして、伸筋支帯を再度縫合した。これによりEDCと橈骨との間でのストレスを軽減し、再断裂を予防した。伸筋支帯遠位1/2はEDCの背側で縫合し、伸筋支帯を修復した。術中所見でも断裂の原因となる骨性隆起や変形性病変はなく、術後の病理組織所見でも異常は認めず原因不明であったが、漁業関係の仕事で網を引く動作が多いことなどから、手関節の使いすぎにより断裂を引き起こしたものと推測した。術後経過は良好で、術後16週に職場復帰した。
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