臨床室
トリアムシノロンアセトニド注射後に尺骨神経障害をきたした2例
澤田 智一
1
,
大村 威夫
,
荻原 弘晃
,
牧野 絵巳
,
松山 幸弘
1浜松医科大学 整形外科
キーワード:
Triamcinolone Acetonide
,
X線診断
,
萎縮
,
しびれ
,
注射
,
皮膚疾患
,
色素脱失
,
尺骨神経障害
,
上腕骨内側上顆炎
Keyword:
Elbow Tendinopathy
,
Atrophy
,
Injections
,
Radiography
,
Skin Diseases
,
Triamcinolone Acetonide
,
Hypopigmentation
,
Ulnar Neuropathies
pp.427-429
発行日 2014年5月1日
Published Date 2014/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2014255384
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症例1:40歳男。左上腕骨内上顆炎に対しトリアムシノロンアセトニドの局所注射を行い、投与後より内上顆部の皮膚萎縮と色素脱出を認め、徐々に左環・小指の痺れが出現した。症例2:63歳男。近医で右上腕骨内上顆炎に対し複数回トリアムシノロンアセトニドの局所注射を受けており、徐々に右環・小指の痺れが出現し、右肘内上顆部に皮膚萎縮を認めた。2例とも血液・生理化学検査、尺骨神経幹伝導速度検査、肘関節単純X線検査で明らかな異常は認めず、尺骨神経障害の診断で手術を行った。尺骨神経の絞扼はなく、神経周囲は癒着が全体的にみられ、症例1は内上顆部に注射後11ヵ月にも関わらず白い結晶成分があり、深部までこの結晶が残存していた。症例2は尺骨神経直上に白い結晶成分があり、内上顆部にも白い腱結晶成分を認めた。いずれも結晶成分の除去とKing変法を行い、術後に皮膚萎縮は軽快し、尺骨神経症状は改善した。
©Nankodo Co., Ltd., 2014