臨床室
多発性血管炎患者に生じたまれな足趾伸筋腱皮下断裂の1例
和田 輝至
1
,
頭川 峰志
,
長田 龍介
,
木村 友厚
1富山大学 整形外科
キーワード:
腱損傷
,
X線CT
,
足の筋
,
顕微鏡的多発血管炎
,
伸筋
,
腱移行術
Keyword:
Tomography, X-Ray Computed
,
Tendon Injuries
,
Tendon Transfer
,
Muscle, Skeletal
,
Microscopic Polyangiitis
pp.248-249
発行日 2017年3月1日
Published Date 2017/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2017145990
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58歳女。左第4趾伸展不全を主訴とした。顕微鏡的多発血管炎の診断で内服加療中であり、2ヵ月前より外傷歴、前駆症状や誘因なく主訴が出現した。関節痛や知覚障害は認めず、左足3D-CTでは左第4趾の長趾伸筋腱の連続性が途絶し、舟状骨、第3楔状骨に骨棘形成・遊離体を認めたことから骨棘・遊離体による足趾伸筋腱皮下断裂と考えて手術を行った。術中、第4趾長趾伸筋腱の断裂を同定し、舟状骨、第3楔状骨の骨棘切除と遊離体の摘出を行った後、中足骨レベルにあった長趾伸筋腱の末梢断端を第3長趾伸筋腱に腱移行として側側吻合した。本症例は膠原病やステロイドによる腱の脆弱性に足根骨の骨棘による機械的刺激が加わって腱断裂が生じたと考えられ、術後6ヵ月で左第4趾伸展は改善した。
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