臨床室
橈骨遠位端骨折後11年経過して発症した長母指伸筋腱皮下断裂の1例
米元 崇
1
,
木村 理夫
,
佐々木 源
1帝京大学 整形外科
キーワード:
腱移植
,
腱損傷
,
橈骨骨折
,
長掌筋
,
長母指伸筋
Keyword:
Radius Fractures
,
Tendon Injuries
pp.951-954
発行日 2016年8月1日
Published Date 2016/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2016356166
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症例は58歳女性で、11年前に左橈骨遠位端骨折で近医にて保存的に治療されていた。左母指の脱力感後に疼痛と伸展不能となり、長母指伸筋(EPL)腱断裂疑いで紹介受診した。左母指指節間関節の自動伸展、母指の背側への進展は不能であり、触診では背側の第2手根中手関節部皮下に腱断裂を疑わせる腫瘤を認めた。X線で背側傾斜が残存した橈骨遠位端の変形治癒を認め、CTで橈骨遠位背側に骨棘形成を認めた。EPL腱皮下断裂の診断で手術を行った。EPL腱は第1中手骨基部で断裂し、腱断裂端はささくれ状の変性断裂であった。遠位断裂端は周囲組織と癒着しており、断裂部位はLister結節に一致していた。同側の長掌筋腱を移植し、やや強めの緊張でEPLに編み込み法で鏡後に縫合した。術後に母指スパイカシーネで外固定を6週間行い、術後3ヵ月で原職(看護師)に復帰し、術後1年で母指可動域は正常まで回復した。
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