臨床室
閉鎖神経障害を呈した卵巣嚢腫の1例
原 由紀則
1
,
田尻 康人
1東京都立広尾病院 末梢神経外科
キーワード:
画像強調
,
月経周期
,
MRI
,
鑑別診断
,
非ステロイド系抗炎症剤
,
閉鎖神経
,
末梢神経系疾患
,
卵巣嚢胞
,
縦緩和時間
,
横緩和時間
Keyword:
Anti-Inflammatory Agents, Non-Steroidal
,
Diagnosis, Differential
,
Image Enhancement
,
Menstrual Cycle
,
Magnetic Resonance Imaging
,
Obturator Nerve
,
Ovarian Cysts
,
Peripheral Nervous System Diseases
pp.433-436
発行日 2014年5月1日
Published Date 2014/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2014255386
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35歳女。7日前に誘引なく左大腿痛、腰痛が出現し、大腿痛は股関節の深屈伸時、外転・外旋時に増強した。腰椎MRIでL3/L4椎間板が左外側方へ軽度突出する像を認め、腰椎椎間板ヘルニアと考えられた。骨盤MRIでは左臼蓋壁内面腹側に接してT1強調像で低信号、T2強調像で高信号の40mm大の腫瘤を認め、卵巣嚢腫と考えられた。産婦人科的診察では、最終月経は疼痛出現の2週前で、同月経期に前医で行われた超音波検査で卵巣の異常は指摘されなかったが、今回の検査で左卵巣は40.7×47.0mm大に腫大し、出血性黄体嚢胞と診断された。しかし、腫大した卵巣と大腿痛には関連がないと判断された。大腿痛の原因はL3/L4外側椎間板ヘルニアによるL3神経根障害と考えL3神経根ブロックを行ったが、効果は部分的かつ一時的であった。以降は疼痛が増強しない肢位での安静とNSAIDs坐薬・内服で経過観察していたところ、入院1週目の月経開始と同時に大腿痛が軽減し始め、入院2週目には大腿痛および腰痛は消失した。また、MRIでは嚢腫の消失を認めた。
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