臨床室
緊急手術を要した胸椎部砂時計腫の1例
村田 雅明
1
,
村岡 智也
,
山本 哲章
,
下雅意 亮臣
,
服部 明典
1鳥取県立中央病院 整形外科
キーワード:
X線診断
,
胸椎
,
MRI
,
脊髄腫瘍
,
緊急手術
Keyword:
Magnetic Resonance Imaging
,
Radiography
,
Spinal Cord Neoplasms
,
Thoracic Vertebrae
pp.125-127
発行日 2014年2月1日
Published Date 2014/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2014188447
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41歳男。両下肢麻痺・排尿障害を主訴とした。1ヵ月前より左側腹部から上腹部の痛みが出現し、3日前に近医に緊急入院したが増悪して救急搬送された。下肢徒手筋力テストは左右ともほぼ0~2であり、上肢を除く日本整形外科学会頸髄症治療成績判定基準(JOAスコア)は0/11点であった。MRIではTh9レベルで脊柱管内から左Th9/Th10椎間孔内におよぶT1等信号・T2やや高信号、造影効果陽性の砂時計腫を認めた。緊急手術によりTh9の神経根部腫瘍を一部切断して摘出し、硬膜管内の被膜に包まれた腫瘍はバイポーラー焼灼により内減圧しながら摘出し、左Th9~Th10に椎弓根スクリューを挿入して後方固定した。病理組織検査では神経鞘腫の診断であった。術直後より腹痛は軽快し徐々に下肢筋力は回復し、術後2ヵ月で下肢筋力はMMT4以上となりリハビリテーション病院へ転院した。術後1年で独歩可能・排泄も完全に自立し、JOAスコアは8/11点であった。
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