発行日 2011年3月1日
Published Date 2011/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2011143735
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47歳女。四肢の痺れ、次いで脱力を自覚するようになり、他院で軸索障害の診断のもと免疫グロブリン大量療法が行われたが改善しなかった。当院紹介入院時、四肢筋力は両側MMT4で、自立歩行不能であった。また、全身の皮膚に膨隆疹が散在し、下肢に剛毛を認めた。血液生化学検査でM蛋白血症を認め、免疫電気泳動ではBence Jones蛋白を検出した。血清カイトサインでは血管内皮細胞増殖因子(VEGF)の高値を認め、電気生理学検査では運動神経伝達速度の低下と潜時の遅延を認めた。臓器腫大として肝脾腫を認めた。骨シンチグラムでTh10~Th11に淡い集積を認め、PETでは同部位に強い集積を認め、胸椎単純X線では骨化と骨吸収の混在した骨病変を認めた。MRIではT1、T2強調像ともに骨吸収部分は等信号、骨硬化部分は低信号を呈していた。骨病変の切開生検を行ったところ形質細胞腫と診断され、胸椎骨病変を呈したPOEMSと診断して放射線療法を行った。画像上は明らかな改善を認めなかったが、下肢の疼痛と失調性歩行は改善した。M蛋白血症が持続したため化学療法を行い、VEGFは正常化し、独歩退院となった。
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