発行日 2010年10月1日
Published Date 2010/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2011044265
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51歳男。誘因なく右背部の疼痛が出現し受診した。MRIではTh2椎体右側および胸壁に浸潤する腫瘍像を、CTではTh2椎体右側後の骨溶解像を認めた。胸部X線、胸部CTでは右肺尖部腫瘍像、胸壁、椎体の浸潤像を認めた。CTガイド下針生検によりadenocartinomaと診断し、転移は認めなかった。以上より、Pancoast腫瘍のStage IIIbと診断した。導入療法として放射線照射とシスプラチン、ビノレルビン酒石酸塩投与を行い、手術を行った。Th1-Th3椎弓切除、C7-Th4を椎弓根スクリューで固定した。肩甲骨遠位を弓状に切開し、右肺上葉切除、右第1~4肋骨切除、上縦隔リンパ節郭清術の後Th2椎体全摘、腸骨を用いてLift-Jおよびsingle rod & screwで固定し、胸郭再建術を行った。腫瘍は肉眼的には全て切除できた。術後は良好で、退院後はテガシール・ウラシル内服となった。職場復帰していたが、その後、両下肢のしびれ、脱力を生じた。MRIにてTh1椎体の腫瘍による圧潰および硬膜管の圧迫を認め、状態が徐々に悪化し死亡した。
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