発行日 2013年9月1日
Published Date 2013/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2013353835
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肺小細胞癌脊髄内多発転移により対麻痺を発症した2例を経験した。症例1は84歳男で、1週間前に転倒し、背部痛および両下肢しびれが出現し、次第に歩行困難となった。単純X線像でL1椎体骨折を認めた。麻痺が進行し、初診2日目には完全対麻痺となり、膀胱直腸障害も生じた。胸部CTで左下葉に腫瘤状陰影を認めた。肺生検が行われ、小細胞癌を示唆する所見であった。臨床所見より、肺小細胞癌の多発性脊髄内転移と考えた。積極的治療は行わず、初診から3ヵ月後に死亡した。症例2は58歳男で、2年前より、肺小細胞癌に対して化学療法・放射線療法、5ヵ月前には脳転移に対して全脳照射が行われた。1週間前より腰痛および両下肢しびれが出現し、徐々に歩行困難となり、膀胱直腸障害も出現した。臨床経過より肺小細胞癌の多発性脊髄内転移と診断した。神経学的脱落症状の改善を目的に照射が行われたが、改善なく受診2ヵ月後に死亡した。
©Nankodo Co., Ltd., 2013