臨床室
突然の対麻痺で発症した精巣原発の転移性脊椎腫瘍の1例
亀井 克彦
1
,
関 庄二
,
牧野 紘士
,
川口 善治
,
中嶋 悠
,
木村 友厚
1富山大学 整形外科
キーワード:
X線診断
,
精巣腫瘍
,
MRI
,
脊椎腫瘍
,
免疫組織化学
,
対麻痺
,
筋力低下
Keyword:
Immunohistochemistry
,
Magnetic Resonance Imaging
,
Paraplegia
,
Radiography
,
Spinal Neoplasms
,
Testicular Neoplasms
,
Muscle Weakness
pp.529-532
発行日 2014年6月1日
Published Date 2014/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2014325135
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19歳男。誘因なく背部痛と下肢のしびれが出現し、増悪とともに歩行が不能となったため著者らの施設へ緊急搬送された。所見では胸椎単純X線像では明らかな異常はみられなかったが、胸椎MRIではTn8レベルの脊柱管内腹側にT1強調画像で低信号、T2強調画像で不均一、T1強調造影像で高信号を呈する病変が認められ、脊髄は腹側から圧迫されていた。以上、これらの所見を踏まえ、本症例は硬膜外血腫が疑われ、緊急手術が行われることとなった。その結果、Th7~Th9をやや広く椎弓切除すると、脊柱管左方から腹側にかけて暗赤色の腫瘍性病変が認められた。一塊として腫瘍切除は不能であったが、可能な限り切除することで、十分な硬膜管の除圧は得られ、術後は2日目よりは明らかな下肢運動機能改善が認められた。一方、腫瘍組織の病理学的検査を行なったところ、核の濃染腫大、不整を示す多形性の強い腫瘍細胞がみられ、免疫染色より非セミノーマ胚細胞腫瘍が考えられた。そのため全身検索を同時に行い、悪性精巣腫瘍の硬膜外転移と診断を得、左精巣高位結紮切除術が施行された。以後、切除した病理組織像などから精巣原発の非セミノーマ胚細胞腫瘍の脊椎転移と診断されたが、手術から6ヵ月現在、患者は痙性は残存するものの下肢徒手筋カテストは4程度までに改善し、立位歩行が可能となっている。
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