発行日 2012年9月1日
Published Date 2012/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2012350822
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高齢者の転倒の実態を把握するため、3年間に入院した65歳以上の大腿骨近位部骨折306例(男68例、女238例)を対象として、同一検者が質問事項を統一して聞き取りを行った。年齢別分布は男女とも80~84歳が最多で、屋内転倒は高齢になるほど増え、場所別では居間、廊下、台所など障害物の少ない場所での転倒が60.9%を占めた。また、転倒の原因別では、加齢現象や運動不足、各種疾患に由来する内的要因によって転倒したものは、段差、照明、路面の状態や履物などの環境に由来する外的要因によるものより高齢で、日常生活動作能力や歩行能力予後が劣っており、内的要因による転倒に強く影響を及ぼす項目としては転倒場所と認知症が挙げられた。転倒予防対策としてはバリアフリーなどの環境整備だけでなく、運動療法による内的因子への介入も積極的に行うべきであると考えられた。
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