発行日 2012年6月1日
Published Date 2012/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2012294311
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
症例は33歳男性で、9年前の交通事故受傷後から左足関節の腫脹に気付き、疼痛と違和感を自覚した。近医で脛骨下骨による足関節不安定症と診断され、脛骨下骨摘出術および三角靱帯形成術を受けたが改善しなかった。X線で距骨後方に三角骨を認め、MRIでは腓骨筋腱溝内の長・短腓骨筋腱の間に腱組織と同様の輝度変化をもった陰影が確認された。保存的治療で改善がなく、手術的治療を行った。まず関節鏡で足関節内の評価を行ったが、外傷性変化や変性所見はなかった。次いで外顆周囲に沿った弧状の皮膚切開で進入し腓骨筋腱鞘を切開したところ、短腓骨筋腱の後方に、短腓骨筋下約1/3を起始部とし踵骨の腓骨筋滑車に停止している破格筋を確認した。破格筋により腱鞘内の緊張が高まっていたこと、踵骨付着部の損傷が確認されたことより破格筋を全摘出し、三角骨による障害も否定できず、同時に摘出した。最後に腓骨筋腱鞘を縫合した。術後18ヵ月経過し症状再発はない。
©Nankodo Co., Ltd., 2012