発行日 2012年6月1日
Published Date 2012/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2012294308
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
症例は72歳女性で、右変形股関節症に対しmetal-on-metal人工股関節全置換術を施行されたが、術後5年5ヵ月ころより右下肢の腫脹が出現した。右鼠径部に径約4.5cmで境界明瞭な弾性硬の腫瘤を触知し、造影CTで大腿動静脈を強く圧迫する造影効果のない腫瘤が認められた。CTガイド下生検で感染や腫瘍像はなく壊死組織のみ認め、手術を施行した。まず仰臥位で展開して大腿動静脈を強く前方に圧迫する腫瘤を認め、癒着を剥離し摘出した。深部ではカップ前方~関節内へ連続し、腫瘤内部は黄土色の水分に乏しい組織であった。次に側臥位とし、後方進入でメタルライナーをポリエチレンライナーに交換した。関節内にも腫瘤内部と同様の内容物が充満しており、摘出インプラントに異常はなかった。病理組織所見で、一部被膜の新生血管周囲にリンパ球を主体とした炎症細胞浸潤を認めたが、大部分は壊死組織であった。術後右下肢腫脹は速やかに改善し、1年6ヵ月経過して再発はない。
©Nankodo Co., Ltd., 2012