発行日 2009年12月1日
Published Date 2009/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2010089979
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85歳女。7年前に特発性右大腿骨頭壊死のため、Natural-Hip Cement Stem(ジンマー社)とAPR Cup(スルザーメディカジャパン社)を用いたMetasul Hip Systemによるmetal-on-metal人工股関節全置換術の既往があった。今回、突然右下肢に著明な腫脹が出現し、下肢血管エコーで右大腿静脈深枝・浅枝の分岐部レベルで血流途絶を認めた。造影CTでは造影効果を認めない嚢腫様病変を右骨盤内に認め、そのすぐ遠位部で大腿静脈陰影の途絶を認めた。MRIでは股関節から連続するT2強調像で高輝度の嚢腫様病変を認めた。嚢腫様病変が大腿静脈を圧迫して深部静脈血栓症を生じたと判断し、心臓血管外科と共同で病変の切除を行い、病理所見でポリエチレンを貪食する多核巨細胞と、金属の摩耗粉の沈着を認める異物肉芽腫性病変を認めた。術後5日に人工関節が脱臼し、X線所見でポリエチレンインサートの摩耗が疑われたため、カップ側の再置換術を施行した。摘出したインプラントはライナーロッキング機構が破損し、ポリエチレンライナーは摩耗していた。
©Nankodo Co., Ltd., 2009