発行日 2012年4月1日
Published Date 2012/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2012220016
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症例は64歳男性で、狭心症で冠動脈バイパス術の既往があった。61歳時より右前胸部の放散痛が出現し、開胸術後疼痛症候群としてペインクリニックを受診していたが、胸部以下の温度がわかりにくくなり、更に両下肢のしびれ・脱力、歩行障害を来たした。X線では多椎間にわたる変形性頸椎症性変化が認められた。頸胸移行部MRIでは、C7-Th1高位にT1強調画像で辺縁高信号、内部低信号、T2強調像では辺縁一部高信号、内部低信号を示す腫瘍を認め、ガドリニウムで辺縁が造影され、右後外側から脊髄を強く圧迫していた。手術を施行し、C7-T1の片開き式脊柱管形成術で脊柱管内に到達し、赤褐色の腫瘍を一塊として切除した。病理組織像では種々の大きさの血管が存在し、拡大した血管腔を多数認め、出血を合併した海綿状血管腫と診断した。前胸部痛は術後早期に改善し、2週後に杖歩行で退院した。1年4ヵ月経過して腫瘍再発はなく、胸部痛は消失し独歩可能である。
©Nankodo Co., Ltd., 2012