発行日 2010年6月1日
Published Date 2010/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2010265984
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生後4ヵ月の女児。患者は左大腿の腫脹、熱感、色素沈着を主訴に著者らの施設へ受診となった。MRIでは左大腿皮下脂肪層に索状、網目状の信号変化がみられ、同部はT1にて高信号、T2にて高信号を示した。また、病変はびまん性に膝蓋骨前面まで及び、更に内側広筋、外側広筋に浸潤、圧排していた。以上より、本症例は大腿軟部海綿状血管腫と診断され、外来にて経過観察が行われたが、生後6ヵ月で急速に左大腿部の腫脹と皮下出血斑の出現、増大し、その後、再診の際、嘔吐やPlt減少が認められ入院となった。更にあわせて翌日には皮下出血斑とともにDIC診断基準8点を満たし、本症例はKasabach-Merritt症候群と診断された。治療としてプレドニゾロン投与やステロイドパルス療法が行われたが無効で、放射線療法を行うことで患者は最終的に治癒が得られた。尚、目下、治療後6年経過で膝関節のROM制限はなく、ADLも良好で、血管腫の再燃もみられていない。
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