発行日 2009年8月1日
Published Date 2009/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2009314608
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21歳女。約8ヵ月前に出産の既往があり、4ヵ月前より右鼠径部に小指大の小腫瘤を自覚し発熱も出現したが、婦人科の血液検査で異常はなく経過観察となった。約1ヵ月前より右鼠径部の疼痛増悪で歩行困難となり、外科での画像にて腸腰筋膿瘍が疑われ針生検を行うも病因解明に至らず、抗生物質投与を行うも改善しないため精査加療目的に入院となった。右股関節の拘縮、歩行不能、発熱も持続し、CTで右腸腰筋の筋肉と等濃度の腫大像を認め、MRIではT1強調像で筋肉と等信号、T2強調像で一部に不均一な高信号の混在する高信号を呈した。生検では、腫瘍細胞は多形性、異型性を有しサイズの大きなリンパ球様の細胞の浸潤で構成されていた。免疫染色ではALK陽性、CD30陽性で、anaplastic large cell lymphoma(ALCL)、病期stageIVと診断した。血液科にて化学療法を開始し1コース終了直後から右股関節の屈曲拘縮は改善し、支持なしで歩行可能となり、6コース施行終了時には腫瘍の著明な縮小を認めた。
©Nankodo Co., Ltd., 2009