発行日 2012年1月1日
Published Date 2012/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2012156567
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76歳男。3年前より腰痛、両下肢痛、間欠跛行があり、L3レベルに硬膜内石灰化病変を認め、その後増大し症状も増悪した。MRIで椎間板膨隆、硬膜外脂肪、黄色靱帯肥厚によるL3/L4~L5/S1の狭窄がみられ、腫瘤はT1・T2強調画像で低信号を示した。手術を施行し、右のL3椎弓切除で硬膜を切開したところ、縦15mm、幅10mmの石灰化した表面粒状の珊瑚様腫瘤が認められた。流入する神経線維を切離して腫瘤を摘出し、L4/L5両側およびL5/S1左側の開窓術を行った。病理組織所見で、骨・石灰化成分を認め、辺縁部には光輝性の結晶の形成と、周囲での組織球、巨細胞の反応増生がみられた。線維化や泡沫大食細胞の増生も認めたが、腫瘍性変化はなかった。結晶はDe Galantha染色陽性で尿酸塩結晶の性状を示したが、偏光顕微鏡で正の複屈折を呈し、アリザリンレッド染色陽性で、ピロリン酸カルシウム二水和物結晶の性状も呈した。術後下肢痛は軽減し、3年経過して再発はない。
©Nankodo Co., Ltd., 2012