発行日 2012年1月1日
Published Date 2012/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2012156569
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44歳女。左環・小指の筋力低下が出現し、徐々に進行して鉤爪変形も認めた。筋力は第1背側骨間筋、小指外転筋(ADQ)が徒手筋力テストで2レベルに低下していたが、頸椎の運動部痛、深部腱反射の亢進、病的反射は認めず、感覚障害もなかった。Guyon管や肘部管にTinel様徴候はなく、腫瘤も触知しなかった。運動枝にみ障害されているタイプのGuyon症候群を疑い、電気生理学的検査を行った。運動神経伝導速度は、尺骨神経の遠位潜時が2.5msと遅延を認めず、振幅も10.9mVと正常であった。手関節部より近位の前腕部(ADQ腹筋から11~13cm)で左尺骨神経の伝導障害を認め、著明に刺激閾値が上昇していた。血液生化学検査では抗ガングリオシド抗体が陽性であった。多巣性運動ニューロパシーと診断し、献血グロベニン-I点滴静注(400mg/kg)を5日間行ったところ、鉤爪変形は改善した。変形改善は3~5ヵ月程度持続したが再燃し、その後、複数回の点滴加療を行っている。
©Nankodo Co., Ltd., 2012