発行日 2004年3月1日
Published Date 2004/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2004148685
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50歳女.腰痛,左臀部痛を主訴とした.血液検査ではWBC,CRPの著明高値を示し,FDP,D-ダイマーは増加,PLTは減少し,出血傾向を認め,播種性血管内凝固(DIC)と診断した.腰椎X線では左腸腰筋陰影の拡大を認め,腹部単純CTでは左腸腰筋の不規則な腫大を認めた.腹部MRIではT2強調像で左腸腰筋とその周辺に不均一な高信号を認めた.腸腰筋膿瘍を疑い抗菌薬の投与,観血的ドレナージを施行した.DIC治療,カテコラミンによる強制利尿等も開始したが,入院6日目に呼吸状態が悪化し,胸部単純CT上,両肺野にび漫性陰影を認め成人呼吸窮迫症候群(ARDS)と診断した.腸腰筋周囲より採取した膿の培養結果よりMSSAが検出され,菌薬剤感受性検査の結果より抗菌薬をセファチアムからカルバペネム,エリスロマイシンに変更した.呼吸状態,DIC共に改善がみられ,全身状態が落ち着いたところで原疾患の検索のため骨シンチ,Gaシンチを行い,左仙腸関節に集積を認めた.入院78日目,CT上,左仙腸関節に軽度の骨破壊像がみられたものの,腸腰筋の炎症変化は消失した
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