発行日 2011年6月1日
Published Date 2011/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2011288561
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
80歳女。約10年前に橈骨遠位端骨折に対し保存的治療を受け、手関節の変形を認めるも症状なく経過していた。今回、誘因なく左環・小指の屈曲制限、左手関節痛が出現して紹介受診し、左前腕掌尺側の自発痛・圧痛を認める部位に尺骨頭の突出を認めた。単純X線では橈骨遠位端骨折後変形治癒と尺骨頭の掌側脱臼を認め、これらによる左環・小指浅指屈筋腱(FDS)皮下断裂、左中・環・小指深指屈筋腱(FDP)皮下断裂と診断して手術を施行した。手術所見で環・小指FDS、中・環・小指FDPの断裂に加え、尺側手根屈筋腱の断裂を認め、断裂部の直下には尺骨頭が一部関節包を破り掌側に突出しており、尺骨頭が屈筋腱皮下断裂の原因となっていた。尺骨頭を末梢から1.5cmで切除した後、環・小指のFDSの末梢断端を中指のFDSに端側縫合した。中・環・小指のFDPは一塊としてまとめ、長掌筋腱を用いて腱移植した。尺側手根屈筋腱は横手根靱帯に縫着した。術後7ヵ月時点で疼痛は消失し、屈曲可能であり、日常生活に支障はなかった。
©Nankodo Co., Ltd., 2011