発行日 2001年4月1日
Published Date 2001/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2001188177
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29歳男.バイク事故で受傷し,左橈骨骨幹部の骨折および尺骨頭の開放性脱臼を認めた.他医にて手術を受けたが,回内外制限が改善しないため受診した.X線斜位像では尺骨茎状突起骨片の転移の残存が判明した.CT上も茎状突起骨片は掌側に転位し,尺骨頭は背側亜脱臼位を呈していた.手関節造影では三角線維軟骨複合体のdisc properの損傷は軽度であると思われた.尺骨茎状突起骨片の整復不良が回内外の原因と判断し,手術した.尺骨頭は容易に背側へ脱臼させることができ,伸筋支帯の瘢痕が尺骨頭と茎状突起骨片の間を占拠していた.骨片を周囲軟部組織との連続性を保ったまま新鮮化し,それに合わせる形で尺骨頭を整復し,引きよせ締結法で固定した.2週間の回内外中間位での外固定後,自動運動を開始した.術後1年現在,遠位橈尺関節部に軽度の疼痛を認めるが,ほぼ良好な結果を得ている
©Nankodo Co., Ltd., 2001