発行日 2011年6月1日
Published Date 2011/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2011288560
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75歳女。左上腕前内側深部に弾性硬、自発痛・圧痛を伴う軟部腫瘍があり、単純X線では軟部に石灰化像を認め、MRIでは上腕二頭筋内にT1強調像で低輝度、T2強調像で高輝度、ガドリニウムで造影され、炎症所見を伴い、辺縁不整、内部不均一な腫瘍を認めた。切開生検で類上皮血管内皮腫(EHE)と診断され手術を施行し、腫瘍は上腕二頭筋内にあり筋皮神経と上腕動脈を巻き込んでおり、上腕動脈の部分で腫瘍内切除となった。病理診断は非定型的類上皮血管内皮腫であった。術後2ヵ月に再度左上腕の疼痛が出現し、手術部に腫瘤を認め、精査で左上腕動脈を巻き込むかたちでの腫瘍の再発を認めた。放射線治療で痛みは改善したが、術後9ヵ月より腰痛、発熱が出現し、腸骨穿刺でEHEのびまん性骨髄内浸潤と診断し、患者希望により緩和的治療を行った。以後急速に全身状態が悪化して術後1年に死亡し、病理解剖所見はEHEの多発性肺・肝・副腎・骨転移、癌性胸膜炎による血胸、骨髄癌腫症であった。
©Nankodo Co., Ltd., 2011