発行日 2009年7月1日
Published Date 2009/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2009271666
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右小・環・中指の伸展障害を主訴とした60歳女性症例について検討した。患者は10歳時に右手の開放骨折を生じ、ギプス固定を約2ヵ月間行っていた。以後、伸展障害は右小指から環・中指と徐々にすすみ、20歳代前半には症状の進行は落ちついていた。単純X線像、CTより深指屈筋腱(FDP)群が尺骨遠位端付近にて高度に癒着して生じた病態と考え、手術を行った。皮切・展開すると、尺骨遠位の双頭変形をきたした部位に小・環・中指FDPが挟まり、浅指屈筋腱(FDS)群もその浅層で癒着していた。骨断端を基部より切除して正常な腱の走行に戻した。術後10ヵ月時、遠位橈尺骨関節の不安定性はみられず、ADL上、症状は改善した。伸展型のGaleazzi equivalent lesion(GEL)が生じたが、整復の際にFDP群が骨膜と骨端線の間にinterpositionされてしまい、そのままの状態で成長したものと考えられた。
©Nankodo Co., Ltd., 2009