発行日 2005年11月1日
Published Date 2005/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2006040973
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72歳男.早期胃癌の術前検査中,偶然,胸部CTで胸髄腫瘍を発見された.胃癌の原発巣は小さく,胸髄腫瘍が転移性腫瘍である可能性は極めて低いと考えられ,胃切除後,胸髄腫瘍の精査を行った.MRI矢状断像ではTh4~Th6の硬膜外背側に紡錘状の境界明瞭な腫瘤を認めた.T1強調画像では等信号から低信号が混在し,T2強調画像では高信号を示し,Gd-DTPA冠状断像ではdumbbell型を呈していた.胸髄硬膜外腫瘍の診断で腫瘍切除術を行った.腫瘍は5×2×0.8cmで,硬膜外背側の硬膜外脂肪層内に認められ,硬膜から容易に剥離できた.椎間孔から外側に突出した部分を含めて腫瘤を一塊として摘出した.組織学的には成熟した脂肪細胞と小型血管の不規則な分枝状増生よりなる腫瘍であり,血管脂肪腫と診断した.術後,10年前から自覚のあった腰部と両下肢の違和感は徐々に軽減し,術後4ヵ月を経て再発はみられない
©Nankodo Co., Ltd., 2005