発行日 2001年9月1日
Published Date 2001/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2002067214
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56歳男.転落により腰痛,右下肢痛が出現し,安静加療を行ったが症状は徐々に悪化した.MRIでTh12レベルの硬膜内髄外にT1強調像で等,T2強調像で等~高信号が混在する腫瘍病変を認めた.両下肢麻痺が急速に進行し,腫瘍の増大を認めた為緊急手術を施行した.T-sawを用いてTh11~12の還納式椎弓切除を行い,内部の暗赤色の腫瘍により膨隆した硬膜管を露出した.硬膜を切開すると脊髄円錐部で腫瘍組織と血腫がクモ膜下腔を占拠していた.腫瘍及び血腫を切除した後,硬膜を縫合し切除椎弓を還納した.摘出標本の病理組織学的診断は腺癌及び血腫であった.術後原発巣の精査を行ったところ,左肺門部に腫瘍陰影を認め,喀痰細胞診から肺癌と診断された.又,胸椎,骨盤内にも転移巣を認め,術後も神経症状は僅かに改善したのみで,全身状態は急速に悪化し,2ヵ月後に死亡した
©Nankodo Co., Ltd., 2001