発行日 2011年4月1日
Published Date 2011/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2011186410
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57歳男。階段から転落して受傷し、直後より頸部痛を認めた。受傷2日後に受診し、単純X線で軸椎棘突起は基部で骨折し、棘突起は尾側に転位し、軸椎の亜脱臼とC3椎体上前縁の楔状化、小さな骨片を認めた。3-D CTでは、頭側は軸椎棘突起基部から尾側は一部椎弓にわたる骨折で、軸椎下関節突起はC3上関節突起を完全には乗り越えず、両側ともロッキングは認めなかった。MRIではC2/C3レベルの脊髄の圧迫を認めた。緊急入院の上、頸椎伸展位で頭蓋牽引を行い整復したが、翌日より不穏となり、骨折の不安定性も強かったため手術を行った。手術は軸椎棘突起付着の筋肉を剥離せず、温存したまま棘突起を縦割して展開した。軸椎に椎弓根スクリューおよびC3椎弓下にフックを設置し、腸骨から採骨・骨移植して後方固定術を施行した。軸椎棘突起は縦割した部分を圧着して縫合した。術後2年経過で、両手尺側に軽度のしびれが残存するも後頸部痛はなく、X線で骨癒合は良好で、MRIでC2/C3レベルの圧迫はなく、C3椎弓下でのフック脊髄圧迫も認めていない。
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