発行日 2009年2月1日
Published Date 2009/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2009159680
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症例は73歳女性で、誘因なく生じた頸部から左後頭部にかけての疼痛を主訴に近医整形外科を受診、C2陳旧性骨折(ハングマン骨折)と診断され、約11ヵ月間消炎鎮痛薬内服を続けたが改善せず、更に左上肢のしびれや巧緻運動障害・歩行障害が出現して5ヵ月後に他院にて頸椎前方除圧固定術+自家骨移植術を施行された。しかし症状は改善せず3ヵ月後に来院となり、精査の結果軸椎分離すべり症と診断され、3ヵ月後に手術目的で入院となった。初診時、左頸部から後頭部にかけての疼痛、軸椎棘突起に一致した圧痛、軽度の左右回旋制限を認め、頸髄症JOAスコアは11/17点であり、単純X線像では軸椎に分離症を認め、軸椎~C3間で椎間板の変性と約2mmの前方すべりを呈していた。MRIではC2/3レベルで軽度の脊柱管狭窄、軸椎レベルの頸髄内にT2強調像で高信号域を認め、C2/3椎体間は軽度前方すべりを呈し、初回手術部位は偽関節となっていた。MRIにて脊髄内にT2強調像で高信号域を認め、機能撮影にて不安定性を呈していたことから動的因子による圧迫性頸髄症と診断し、頸髄前方固定術(C2~C4椎間板切除+C3椎体亜全摘術、右腸骨より全層骨を採取し移植)を施行した。術後1年経過の現在、骨癒合は良好で左上肢の知覚障害・運動障害・歩行障害は改善し、JOAスコアは14.5点に改善した。
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