発行日 2011年2月1日
Published Date 2011/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2011125718
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72歳女。下肢のしびれを自覚し、近医で腰部脊柱管狭窄症と診断され保存的治療を受けていたが、しびれが増強した。初診時、右下肢優位の疼痛・しびれを認め、間歇跛行は100m程度であった。単純X線正面像ではL4左側椎弓根の扁平化を認め、側面像ではL3~L4左側椎間孔の拡大を認めた。脊髄造影では正面像でL3~L5レベルの部分途絶を呈し、側面像ではL3~L4レベルで騎跨状の造影柱停止像を認めた。ミエロCTでは左椎間孔からの硬膜外に腫瘍の進展を認め、椎体の一部に侵食像を認めた。MRIでは脊柱管内外に広がるダンベル型病変を認め、T1強調横断像で低信号、T2強調画像で高信号を呈し、造影効果を認め、内部は均一であった。L3~L4レベルのダンベル型脊髄腫瘍を疑い手術を施行し、L3/L4左椎間関節を切除したところ、暗赤色で薄い皮膜を伴った椎間孔内・外に広がる腫瘍を認め、これを切除した。病理組織学的所見で大小の不規則な拡張血管の集積を認め、海綿状血管腫と診断した。術後、間欠跛行は消失し、JOAスコアは術前12/29点から23/29点に、ODIは20%から44%に改善した。術後5年後の現在、再発・転移は認めていない。
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