発行日 2010年1月1日
Published Date 2010/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2010080245
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80歳女。関節リウマチのためステロイド内服の既往があった。今回、転倒して左大腿骨顆上骨折を受傷し、周術期深部静脈血栓症予防のため入院翌日よりヘパリンナトリウム(HN)点滴を開始し、入院直後より肺炎が悪化したため7日目よりダルテパリンナトリウム(DN)に変更した。肺炎改善後の入院14日目に、L2/L3高位から挿入したカテーテルによる硬膜外麻酔を併用し、全身麻酔下に逆行性髄内釘手術を施行した。カテーテル留置8.5時間前にDNは中断し、留置後1.5時間よりHNを再開した。術翌日にカテーテル挿入部の激痛を訴えたため抜去したが、術後2日に両下肢の筋力低下としびれが出現した。硬膜外血腫を疑いMRIを施行したところ、L2~L3椎体高位にT1強調像で等信号、T2強調像で高信号と低信号が混在した占拠性病変を認め、硬膜管の圧迫を認めた。緊急でL1~L3の椎弓切除および血腫除去術を施行し、術後MRIで硬膜管の拡大を確認した。その後徐々に麻痺は回復し、下肢筋力も術前レベルとなった。
©Nankodo Co., Ltd., 2010