発行日 2009年8月1日
Published Date 2009/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2009314609
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80歳男。26歳時に肺結核手術の既往があり、2002年1月頃より変形性膝関節症で保存的治療を受け、2003年6月より右膝痛に加え右下肢に腫瘤が出現し精査加療目的で紹介となった。右膝窩中央および右下腿中央前面に軟部腫瘤を認め、生検にてMycobacterium(M.)intracellulareが検出された。2004年4月に右下腿前面に瘻孔を認めたためリファンピシンの内服を開始した。膝窩にも瘻孔が出現し、X線で大腿骨顆間窩、脛骨顆間隆起、腓骨頭に骨頭亮像、MRIでは大腿骨および脛骨の骨内病変と関節後方に膿瘍を認めたため、M.intracellularによる骨関節炎と診断した。M.avium-intracellular complex(MAC)症の治療法に準じてリファピシン、塩酸エタンブトール、クラリスロマイシンの3剤化学療法を開始した。開始後1年5ヵ月で瘻孔は閉鎖し、発症から4年9ヵ月で膝関節腫脹は認めず疼痛なく独歩可能となった。膝可動域-5~130°、JOAスコア90点、MRIで脛骨顆間隆起の骨内病変、関節後方の膿瘍は消失したがCRPが陰性化しないため、副作用に注意しながら化学療法を継続している。
©Nankodo Co., Ltd., 2009